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DJの演奏時間に関する小ネタ2選

※この記事は、【DJVJアドベントカレンダー2022】にて公開した記事です。12/1公開現在、執筆枠がまだまだたくさん余っていますので、DJ/VJに関する記事を寄稿してくださる方まだまだ大募集です!

adventar.org

 今回のDJVJアドベントカレンダーでは、小ネタ集ということで、探偵ナイトスクープみたいに小ネタを集めてお届けしようと思っていたのですが、中ネタくらいのネタばかりになったので、「演奏時間」にフォーカスを当てた小ネタを2選、お届けします。実践向きなので、ある程度DJをやったことある方向けに記載しますが、なるべく脚注機能*1を使ってわかりやすくしてお届けします。今回ご紹介するのはこちら!

セトリの総演奏時間をざっくり計算する

 DJは持ち時間があるので、1人あたりの持ち時間に合わせて曲を選ばなければなりません。懸命に組んだ楽曲リストでも、入れ込みすぎて持ち時間をオーバーしたり、逆に足りなくて場を繋がなければならないという事態も。しかしながら、一回通しで練習をするとなると、持ち時間と同じ時間が必要…そこでここでは、通し練習でやってみる前に、持ち時間の目安を計算する方法をアドバイスします。

 用意するのは

  • CUE打ち*2の終わった楽曲リスト一式 
  • Excel、Numbersなどの表計算ソフト*3

です。

 

① 曲のCUE打ちを実施する。この時「再生ボタンを押し始める場所」と「次の曲を繋ぎ始める場所」にはCUE打ちをしておく。

HOTCUEでもMEMORY CUEでもいいので、
再生スタート地点と次の曲のリリースポイントにはCUEを打つ

 

② 表計算ソフトを開き、「再生ボタンを押し始める場所」の時間と、「次の曲を繋ぎ始める場所」の時間を全曲分列挙する。

CUEを打った時間を表示して、「再生ボタンを押し始める場所」の時間と、
「次の曲を繋ぎ始める場所」の時間を確認

Excelに全曲分列記する、この時左側に何曲目か書いておくと便利

③ ②で列挙した時間について、「次の曲を繋ぎ始める時間」-「再生ボタンを押し始める時間」を全曲計算する。

例の場合、「D列 - C列」と計算する

計算式を下にコピーすると全曲あっという間に計算完了

④ ③を全て加算すると、楽曲リストを総演奏した時間の目安になります。

E列の時間がその楽曲の演奏時間になるので、全部足すと総演奏時間の目安に

 この作業なら数分〜十数分程度で持ち時間の目安を計算できます。ただしあくまで目安なので、以下の行為を行うと持ち時間が少し変動します。

 

bpmを変化させる

 後述の小ネタで書きますが、BPM5%上下程度であれば、30分のセットでも誤差1分いかない程度になるはずです。通してbpmを10%増しとかにしないのなら、多少の上下はあまり気にせず組んで🆗です*4

 

・ループを仕込み、しばらくループをかけて繋ぐ

 まず、次の曲をリリースした後のループなら、時間計算は変動しません。

次の曲をリリースした後に繋ぐケース

 次の曲の最初をループさせて繋いだり、途中で曲の長さが変わるループを仕込む場合は、その部分だけループの回数に応じた時間を見込んでおきましょう。といってもどんなにループしても、1ループ数秒になるかと思います。

演奏開始時からループされ、演奏時間に加味されるループなので、回数分秒数を織り込む*5

・HOTCUE*6を使い、曲の途中を飛ばす

 飛ばした時間をさらに引いてあげれば良いです。1:00の時点でHOTCUEを押して3:00の時点に飛ばすのであれば、3:00-1:00=2:00をさらに引きます。

 

・その他

 ジャグリング*7したり、複雑なパフォーマンスをする*8場合は、その部分だけ実演して時間測って計算に織り込むと精度が上がります。

 

 この方法で計算すれば、大まかにどのくらいの時間かかるか、が見えるので、曲の追加削除や、CUE位置の再調整など、すぐ取り掛かれるかなと思います。やはり一番正確なのは通し練習を録音することなので、より正確さを求めるのであれば、計算で規定時間におさめたのを確認後、通し練習を実施すると確実です*9

 

BPMを変化させた時の演奏時間増減計算

 DJのテクニックとして、曲のBPMをテンポスライダーで上げ下げして、2つの楽曲のBPMを合わせる、というテクニックがあります。rekordbox*10では、原曲に対してどのくらいBPMを上げ下げしたか、を、%表記で確認することができます。

BPMの%表記 この場合原曲を100%として、4%早くBPMを設定している*11

 

 BPMを上げ下げすると、いわゆる早回し/遅回しすることになりますが*12、一体どのくらいの時間早く/遅くなるのでしょうか。こちらを計算する方法を教えます。


①  [プレイ時間の分数] ÷ ([原曲に対してBPMを上げ下げした時の比率(%)] ÷ 100 )を計算する
② 分秒の単位をそろえる

 

 例えば、4:00の演奏時間の曲について、BPMを3%増しの103%で演奏した時を考えてみましょう。まずは①の式に、プレイ時間の分数=4(分)、原曲に対してBPMを上げ下げした時の比率=103(%)をあてはめ、
  4 ÷ (103 ÷ 100)
が3%増し後の演奏時間になります。
  4÷(103÷100)

  = 4÷1.03 = 3.883...

四捨五入すると3.88(分)になります。次に②について、この計算結果は小数点以下が分単位なので、小数点部分に60をかけて単位を秒にします。
  0.88×60 = 52.8
となるので、4:00→3:52(四捨五入すると3:53)になります。7秒くらいの短縮になるわけですね。

 

 ではもう1つ。FUNKOTというジャンルでは、音源を常に10%増しのBPMで演奏することが多いです*13。180BPMの音源を、198BPMで常に回す、といった感じです。
では常にBPM10%増しの状態で、60分のセットを回すと、元のBPMで回すよりどのくらいの時間短縮されるのでしょうか。
  60÷(110÷100)

  = 60÷1.1 = 54.54545...

 四捨五入すると54.55(分)になります。小数点以下は分単位なので、60をかけると秒になります。
  0.55×60 = 33.0
となるので、60:00→54:33になります。5分27秒くらいの短縮となります。*14

 記載を省略しますが、逆に遅くする場合も一緒です。BPMを3%遅くして計算する場合は、100%→97%として、同様に計算してあげれば出ます。

 

 このように計算してみるとわかるのですが、1:30くらいの楽曲について、BPMを1%上げて回しても、1秒程度の短縮時間となります。セットの中で、BPM変化のみで1分くらいの余裕を作ろうとしても、結構な曲数早回しする必要があるので、この感覚を覚えておくと参考になるかと思います。

 

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 というわけで、演奏時間に関する小ネタを2種類お届けしました。曲寄せの時に活用いただければと思います!時間を大切に!

*1:こういうやつです *マークを押すと脚注に飛びます

*2:楽曲にCUEと呼ばれる目印を打つこと、MEMORY CUE(三角形のマーク)と、HOT CUE(アルファベットのマーク)の2通りのCUEがある

*3:PC版のほか、操作性は落ちますがスマホ版、Web版のOfficeなどでも計算できます

*4:前後のDJとの引継ぎもあるので、1分くらいはバッファととらえて余裕持っておくとよいかもしれません

*5:JUST COMMUNICATIONの最初のイントロで回すと結構つなぎやすいのです

*6:CDJにHOTCUEボタンというものがあり、押すと事前設定したHOTCUEの場所からいきなり再生することができる

*7:左右のデッキをこまめにきりかえ、リズムをキープしながら即興アレンジするパフォーマンス。世間一般的なDJに近いプレイ

*8:ネオンライトでリワインドしたり、テトラポット登頂チャレンジしたり、タイミングよくDynamiteの声ネタを入れたりなどなど

*9:一番正確なのは録音して通し練習すること

*10:DJの仕込みをするソフトの1つ。これで仕込んでおくとCDJで設定した内容を自動ロードできたりと、これ無いと大変なレベル

*11:もとのBPMは154

*12:BPMを2倍にすると、演奏時間は1/2になる、逆にBPMを半分にすると、演奏時間が2倍になる

*13:FUNKOT発祥地インドネシアでは、180BPMで作られた原曲を、テンポスライダーを一番下まで下げて演奏することが多いことを踏襲している

*14:先日のFUNKOTイベント出演の仕込みをしている時、この計算をした結果5分余ることになり、曲が足りなくて少し焦った